「じゃあ、試しに呼んでみろ」
「えっ、今!?」
「はやくしろって」
なんて言いながら、少しずつ距離を詰めてくる。
まってまってまって…
幸い運転席と私たちが座っている座席の間には仕切りがあって、
運転席に繋がる窓も閉まっているため桂木さんには聞こえてはいないはずだけど…
「これ以上待たせるとキスすんぞ」
顎をくいっと持ち上げられて、
須崎凌の悔しいけど綺麗な顔がますます近くなる。
これは…いかん。
「り、り…りょ、う」
早くしなきゃと、精一杯振り絞った声も
「え?なんて?聞こえねぇな」
ニヤリと口角をあげた
この悪魔には通じない。
「…りょう、……凌!!」
さっきより大きい声で名前を呼ぶと、
満足したのか、少し笑って顔が離れた。
…むかつくけど、
何をやっても絵になってしまうこの人。
心臓の鼓動が破裂しそうなくらい早いのがわかる。

