「あのっ、須崎凌さんは今どこに…?」





気まずくなるのも嫌だし、
思い切って話題を変えてみる。





「凌?凌は、次の仕事に向かったわ」





「え、早っ…」





「最近はずっと、お仕事が次々に立て込んでてね…。本当は日菜子ちゃんに本人からお礼を言わせたかったんだけど、ごめんね」





「いいえ!そんな…。私なんか気にしないでください」





きっと須崎凌本人からお礼を言って貰ったとしても、多分私は、さっきのことを思い出してそれどころじゃないだろうし…。




現に今も、まだ触れられた感触がほっぺや色んなところから離れない。





あーもう。思い出しちゃいけない。
思い出しちゃいけない。




必死に頭をブンブン振って、意識を別の方へ移した。







…その後結局、成川さんに家まで送ってもらって帰宅した。





また広告に起用されるだろうから、見つけてみてね。と言われたけど、絶対に見ないようにしようと心に決めて。