「じゃあ出発するわね〜!」
「はいっ」
車はそのまま、私と成川さんだけが乗って発車した。
須崎凌と鉢合わせしなくて済むと思うとホッとした。
須崎凌からしたらただの撮影。
演じてるだけだったとしても、
私にとっては、それはもうファーストキス奪われるくらい衝撃だったんだから。
あの時カメラマンさんが止めてくれなかったら…と考えると冷や汗が出る。
「日菜子ちゃん、凌が乗ってなくてちょっと安心してるでしょ?」
バックミラー越しに目があった成川さんは、軽く微笑んだ。
「そ、それは…」
図星なんだけど、ここでそうですって言っちゃうと、マネージャーさんの前で須崎凌を悪く言っちゃう気がして、なかなか言い出せない。

