「中原日菜子。…です。」
「…ふぅん。」
どーんと仁王立ちで道をふさいだまま、偉そうに腕を組むと、目を細めて上から私を見下ろす。
ていうか、自分から人の名前聞いておいて、反応がふぅんだけって。
なんか、みんなが言ってた優しい王子様とは全然違う気がする…。
「なあ、お前何とも思わねぇの?」
「…何がですか?」
「俺、須崎凌。本物が目の前にいても、何も思わねぇの?」
……はい!??
いや逆になんて思われたいんですか!?
…なんて聞けず。
言ってる意味がいまいち理解できないまま、頭の上にはてなマークを浮かべる私を、須崎凌…さんは少し呆れた顔で見て、そのままフッと鼻で笑った。
「…ま、何しに来たか知らねぇけど、さっさと帰れ。チビ女」
「…なっ、」
言い返そうと試みるけど、そんな私には目もくれず、片手をヒラヒラさせながら奥の方の部屋に入っていった。
なに…今の。
ほんの一瞬の間に起きた出来事。
急展開すぎた今の状態があまり理解できずに、数分間、その場から動けないままだった。

