【短編】屋上とスイーツ

翼side

この三日間、俺は他校の生徒に喧嘩を売られ…逃げ回っていた。
他校の奴くらい本気を出さなくても勝てる。

でも…今度問題を起こせば退学は確実だ。


そして今日、見知らぬ女に声をかけられた。

キツイ香水が鼻を麻痺させる。そして、この女…スキンシップが激しい


「ねえ、一緒遊ぼうよ」

「…悪いけど、俺忙しいから。」

「ね!ちょっとだけ」

そう言うと顔を近づけてくる。

やめろ!気持ち悪い…





「きゃあっ!?」
その時、聞き覚えのある声が聞こえた。






―本能で理緒の危険を感じた―




“理緒ッ!!”


「っ、邪魔だ退けろ!」

俺は女を突き飛ばして、声のした方向へと走っていった。













そこにいたのは涙目の理緒と、俺を追いかけ回していた他校の生徒


俺は全てを悟った








「ほぉ…女に俺の見張りをさせる。そして俺を囮にして理緒をおびき寄せて、襲うっつう魂胆か…。上等じゃねえか、」

翼は今までにないくらい殺気立っていた。



パシ
「後悔すんなよ…?」
翼は近くにあった鉄パイプを握り他校の生徒に近づく。翼の表情は驚くほど冷酷だった。



「っひい…!」
他校の生徒は必死で逃げ去っていった。









「翼…先輩」




「悪かったな…お前までまき込んじまって」


翼は理緒を優しく抱き締めた。


「翼先輩…彼女は…?」

「あ?だからあれは監視役だって言っただろ」

「だってキス…」

「してねーよ!!!」














「良かったあ…大好きな先輩に彼女なんかいたら私…」






「…お前、今のって告白じゃねえのか?」








「はっ…!





いや、お願い!忘れて!」



「いや、絶対忘れねえよ」

勢いで告白してしまった理緒の顔は真っ赤になっていた。