「そうだ。人間界に行く前にこのパーカーを着てくれる?」
 美玖は持って来た紙袋から白いパーカーを取り出した。

「分かりました。もしかして、人間にばれないようにですか?」

「うん。念の為にね」
 そう言いながら、美玖も腰に巻いてあった紫のパーカーを素早く着ていた。このパーカーは力を制御するためでもあるし自分の正体がばれないようにするためでもある。

 ルナがパーカーを着たのを確認した美玖は洞窟の一番奥にある、人が一人通れるぐらいの不思議な空間に右手を入れて、ルナに「行こうか」と言い左手を差し伸べた。

 ルナはその手を取り人間の世界に足を踏み入れた。