バスが去った田舎道は、本当に暗い。
どっかでこおろぎが鳴いてた夜だった。
ぎゅっと抱きしめたら折れちゃいそうだな、と
僕は朋ちゃんのことを見た。
けど...
朋ちゃんは、コーズのことが好きなんだよな。と
そのことを思い出した。
「じゃ、家の前の通りまで送る」って
僕は、嫌がる朋ちゃんを押すように、前の通りまでならいいだろ、
夜道は危ないから、と言って。
朋ちゃん家のひとつ前まできたら、彼女はくるっと振り向いて
「ここでいい。じゃ!」
...って言って、パタパタ駆けだしてったので
僕は、「気をつけろよ-」っていいながら
彼女が家のドアを開けて、閉じる音が聞こえるまでそこに立っていた。
田舎町だから本当に静かで、そんな音がバス通りまで聞こえるくらい。
...僕は、次のバスまで一時間もあるので
家までの遠い遠い道程を、歩いて帰る決心をして(笑)
バスの通る国道を、歩いた。
時々、車が通る。
大好きなホンダCB750の音も、時々聞こえた。
カストロールのオイルの匂いに混じって。



