ぽん、とスカートをはたいて、「いこか。」と
彼女はにこ、と笑って
校門をでた。
革の手提げかばんは重そう、だった。
お弁当は入らないので、愛らしい刺繍のついたおべんとうのふくろを
別に下げて。
持ち手のところには、なんだかマスコットがいっぱいの
かばんと一緒に、袋を下げて
朋ちゃんは僕の右となりを歩いた。
田舎町だから、学校の前も人通りは少なく、車もほとんど通らない。
いつも駄菓子を買っている青木商店の前にも、もう学生たちは居なかった。
このあたりは住宅街だけど、こんな夕暮れ、もう日暮れになりそうな時
表に出ている子はいなかった。
遠くで、山の方へむかうローカル線の、単線の線路を汽車が登ってゆく音がした。
菅野たばこ店の前を通った時、ずっと黙っていた朋ちゃんが
「でも、なんだか話せてホっとしちゃった。」
そういって、にっこりするので僕は、なんとなくどっきり、とした。
「僕に話したって...。」
僕はそこまで言って、しまったな、と思ったが
でも、朋ちゃんは屈託なく
「ううん、いいの。たぶん、話したかっただけなの。」
「でも、コーズに、このこと...。」
朋ちゃんは黙っていた。
僕とコーズは、模型飛行機、Uコンのなかまだった。
いや、僕のUコン好きは有名だったので、コーズは
飛行機を教えてくれ、と頼んできたのだった。
だから、朋ちゃんは僕とコーズが仲良しだ、と思ったのだろう。
僕はどちらかと言うと、あんまりコーズが得意じゃなかった。
でも....
「うん、コーズのやつに、聞いてみるよ。それでいい?」



