〜IMPO本部


ピピピピ…プチッ

五時間のタイマーを止め、私は読んでいた参考書を閉じた。

そしてパンパンと手を叩く。

「はい!この練習は終わりー!ほらァさっさと立てェ!

次は実戦練習に入るわよ!モタモタすんなバカやろーッ!
実戦で不利と判断された奴は腹筋1000回よ!」

その言葉を聞いて、私の部下…健太と貴琉がむくりと起き上がる。

疲れ切った顔をしているが、反抗する気力は残っているらしい。

我が部下は座り込んだまま叫んだ。

「五時間の練習のあとにすぐ実戦だぁ?ざけんじゃねーぞ!

練習五時間ならともかくよ、その前に何時間やったと思ってんだ!ムチャにも程がある!」

「そうだよ!
IMPOの修行ノルマクリアできなかったからって、優子直々のペナルティーってなに!?」

「この部屋は時の流れが遅い、『静時室』。
わざわざつくってもらったんだから使うに決まってんでしょ!

七時間ごときでうだうだ言ってんじゃないわよ!
このままじゃ永遠に下級幹部よ!」

無茶を言ってるのはわかってる。

IMPOの『幹部』の修行は死ぬほど辛い。

ペーペーのひよっ子がついていけないってことは私も承知だ。

でも私が二人を昇格させたのは、頑張ってほしい………からではなく、

『苦労と恥を知れぼっちゃんどもがーー!』

という事情…いや私情からなのである。