「その気持ち、大切にしてね。」
何かをくみ取ったかのように、鈴音さんは言った。
「鈴音さんと店長はケンカされたりしますか?」
「うーん、あんまりしないかも。」
店長が怒っている姿って、あまり想像つかないなぁ。
基本的に温厚な人だもんね。
「人にもよるけどさ…そもそも私は、ケンカしないことが1番だと思うんだ。」
「…ケンカ、かぁ。」
「うん、お互いに言いたいことを言い合うのも大事だとは思うし、譲り合うことも大事だと思うの。それにやっぱりいい気分しないじゃない?
勢いよく出てしまったひどい言葉って、いくらケンカとは言え、それなりに相手を傷付けるだろうし、自分も傷付く。
ケンカをする上で得るものもあるのかもしれないけれど、そこまでのリスクを負ってするほどのことでもないと思う。他のやり方があるんじゃないかなって…。」
確かに…、ちはると翔くんも、少し前にゴタゴタってあったけど、普段あんまり無いもんね。
「私たちは、お互い尊重し合ってるかな。単純に年齢が離れているからっていうのもあるけれど…。」
なんか、本当に素敵なカップルだね。
店長が鈴音さんを大切にしている姿が、簡単に想像つくよ。
「素敵です、本当に。私も鈴音さんみたいな女性になりたいです。」
「私なんて……。もうすぐ26歳になるおばちゃんだしね。若い飛鳥ちゃんが羨ましいよ。」
店長なんてもうすぐ32歳だよ、と鈴音さんは笑って言った。

