思わず私は黙ってしまった。
それでも、どこか胸の高鳴りを覚えた。
今なら聞けるような気がする。
誰も直接聞くことはできなかった―――〝暗黙の了解〟
「鈴音さん…」
「ん?」
「鈴音さんと店長は…その、お付き合いされて…?」
「……。」
一瞬驚いた顔を見せる鈴音さん、そしてそのあとすぐに吹きだして笑った。
「びっくり、まさか飛鳥ちゃんに聞かれるとは。
健吾くんから突っ込まれることは、常々覚悟していたんだけれど。」
「あ、いや、その…すみません。」
「なんで飛鳥ちゃんが謝るの~?大丈夫だよ、いつかは聞かれること、だもん。」
そう言ってクスッと笑う鈴音さん。
「むしろ私が謝らないと…だよね。変な気をいっぱい遣わせちゃってきたよね。
うん、そう、みんなが思っている通り、付き合っているよ。」
「あ、はぁ…」
私、馬鹿だ。
自分から聞いておいて、なんて返せばいいのか分からない。
「言うべきなのか、言わないべきなのか、ずっと自分の中で葛藤してきた。
何が正解なのか分からなくて、そもそも職場恋愛なんてよくないよなぁって。店長と付き合っていいものかって、今でも思っちゃう…。」
「鈴音さん…」
鈴音さんの口から、想像もしていない言葉が出てきて、少し驚いた。

