タカラモノ~小さな恋物語~




ケンの隣に女の子。




そういえば、年末にサッカー見に行った時も、女の子はけっこういた。



もちろんその子たちが、ケンのファンなのかは知らないけど…。



「……。」



あれれ、なんだろう、コレ。


ちょっと胸がチクッとするようなこの感じ。



「飛鳥?どうしたの?」


「あ、ううん!何でもない。

映画まであと少しだね~」



私は映画の話へと話題を変えた。



もうこの話はおしまい、なんか疲れちゃった。


「私、この映画のヒロインの子!今大好きなモデルさんなんだぁ。あー、楽しみ!

翔はさ、恋愛映画は全く興味ないって。ほんと、つまんないんだから。」



事前に買った前売り券を見て、翔のバーカ、とつぶやくちはる。



「映画見るの久々かも。」



高校生の時は、よくちはるに連れられて、映画館に行ったものだった。



高校生…懐かしいな。


いつも隣にはちはるがいて、毎日毎日楽しかったなぁ。



「なんかさ、こうして大学行ってるけれど、高校って楽しかったなって思う。」



ちはるも高校時代を思い出しているのか、遠い目をして言った。



「大学がつまらないわけではないけれど…あの高校の感じって、本当に宝物だと思う。青春って感じのやつ。飛鳥がいて、翔がいて、先生たちがいて、いいクラスメイトに囲まれて…。

今じゃもうそんなもの無いもん、戻りたくても、戻れない。」



「そうだよね、高校生って、一生のうちで、一番輝いてる時間だと思う。」


「なんか、しんみりしちゃうね。映画見る前に泣きそうだわ。」



ちはるがクスッと切なそうに笑った。