タカラモノ~小さな恋物語~




その日は全く仕事に集中出来なかった。



かろうじで、店長と結城さんと話すくらい。


こんな時、鈴音さんがいれば…と思う。




店長は少ししてから、大村さんを連れて、店長研修会へと行ってしまった。



結局、大村さんに何も言えず…。


大村さんに、申し訳ないことをしてしまった。


もとはと言えば、全部私が悪い。



約束をしてしまったのだから、それを果たすのが義務。


それなのに、一瞬ためらってしまったから、ケンがああ言って間に入って来た。



「ほんと、私最悪…」



倉庫でその場にうずくまる。




ケンに対しても、申し訳ない。



「……。」



よそよそしい態度をしたつもりなんてこれっぽっちも無かった。



ただ、サッカーの観戦をしてから、勝手にケンの周りの人たちと自分を比べて、勝手にケンとの間に壁を感じて、勝手に自分の中で割り切って…。



でもケンがあぁいうふうに言ってくれたってことは、私とケンは、職場の人以上の関係って思ってもいい?




大切な相棒って…



私にとってもケンは大切な男友達、だからもう勝手に壁も感じなくてもいい?



フラフラと立ち上がって、山積みの段ボールにもたれかかる。



涙が溢れそうだった。



嬉しいのか悲しいのか、もうよく分からない。



でも、少しホッとしたのは事実。



胸につっかえていた変なモヤモヤが、取れたように感じた。




「百瀬さん…?」


「あ、結城さん。」