タカラモノ~小さな恋物語~




静かな時が流れた。


多分それは、たかが数秒のこと。


けれど私はそれが何時間にも感じた。



ケン…本当どうしちゃったの…



「そうか、それはごめんね。

君たちは付き合って…?」


大村さんが静かに聞いた。


それに対してケンはフッと笑った。



「いーえ、違いますよ。

でも、ももてぃは俺の姉貴みたいなもんです。だからももてぃが困ってたら、俺はそれを助ける。

傷付いたももてぃは見たくないですね。」



「なるほど、俺が百瀬さんと話をすれば、百瀬さんは困ってしまうし、やがて傷付く…ということかな?」


「えっ、そんな…大村さん!そんなことないです!」


私はそんなことを言う大村さんに、必死になって否定をする。


大村さんは私に優しい笑顔を向けるだけだった。


ケンはうんともすんとも言わなかった。



「相川くんの気持ちも分かるよ。けれどね、俺だって、あぁそうですか、とは言えないかな。



また静かな時が流れた気がした。



「さぁ、今日は店長勉強会なんだ。帳票の整理をしないといけない、あまり時間が無いんだ。」


大村さんは、「それじゃ。」と言って、裏へと入った。



しばらく私はその場に立ち尽くした。