私はクスッと笑った。
うん、やっぱり大村さん良い人だよ。
多分、本当はとても誠実な人。
馬鹿がつくくらい真面目な人。
ただ少し不器用なだけなんだと思う。
「いいですよ、私でよければ。」
「え、本当?」
「なんか大村さん、まだまだ愚痴とか溜まってそうだし。私でよければ聞きますよ?」
人はやっぱり話してみないと、本当のことなんて分からないんだと思う。
噂って怖い。
勝手に話が膨らんで、本人の意思とはまるで違う方向に向かってしまう時がある。
「いや、あの、その……
なんていうか俺から誘っておいてなんだけど。本当に大丈夫?」
「ふふふ、大村さんおもしろいですね!」
大村さんは髪の毛を触るのが癖なんだろうな。
そう、大村さんを見て思った。
「そろそろすみません、母が待っていますので。」
「あ、うん。そかそか、そうだったね。
引き止めてしまってごめんね、お大事に。」
「いえ、お疲れ様です。」
私はペコッと頭を下げて車に乗った。
いけない、もうこんな時間。
まさか大村さんに会うなんて、思いもよらなかった。
思わぬ時間がかかってしまったけど、でも大村さんとお話できてよかったと思う。
なんか、胸に引っかかっていたものが、解けたような気分。
やっぱり、人を悪く言ったりするのは気持ちのいいものではない。
大村さんがそんな人じゃないってこと、分かって本当に良かったと思う。
私は、またクスッと笑って、再び車を走らせた。

