タカラモノ~小さな恋物語~





「あ、大村さん…」



さすがにここで足を止めないわけにもいかない。



大村さんは〝上司〟。


失礼のない態度をとらなくては。



「え、奇遇だね。家 この辺…?」


「あ、いえ…ちょっと薬局に用事がありまして。」


大村さんが、私の下げている袋を見て心配そうに言う。


「具合悪いの…?」


「私じゃなくて母なんですけど…。」


「そうなんだ、お大事にね。」



よし、このまま、失礼しますと言おうとした時、「あ、百瀬さん。」と大村さんが口を開いた。



いやいやいや、大村さん!!


この状況、空気読んで!!



…と一人で虚しく突っ込むも、「はい、何ですか?」と笑顔で聞く。



「仕事中だとなかなか言えないし、そんなに百瀬さんともシフトかぶってないからさ。」


「…?」


「今日会ったばかりでなんだけど、もしよかったら今度食事でも行かない…?」


「へっ…?」


「だめ…かな?」



食事…?


一気に思考が停止した。