タカラモノ~小さな恋物語~




「ったく、もう…」


あれからケンとくだらない世間話を少しして「ふぁ~俺もう寝るわ。」という眠そうなケンの声を合図に電話を終えた。


15分くらいの電話。


ケンの気まぐれで身勝手な、ただの時間つぶしの電話。



でもま、おかげで私も多少は時間潰せたし。


もう今日は、少し早いけど寝る支度をしよう。






歯を磨きながら考える。



ケンって、なんだか時々不思議なことを言い出す子。


いまいち掴みどころがないっていうか、謎。



さっきも……


「――……。」


ドキッとさせるようなことをたまに言う。


これがイマドキ男子なのだろうか?



だとしたら、なんか怖いなぁ~。


いつまで経っても、相手の気持ちが分からなさそう。



そういう人間関係は多分苦手。



仕事の付き合いの仲でよかったと思う。


まぁ、プライベートだったら、私には縁もゆかりもない人か。



私は、鏡の中の自分に苦笑いをした。