タカラモノ~小さな恋物語~




「え、ちょっと待ち!」


「ん、はい。」


ちはるは興奮気味に乗り出して聞いた。


「クリスマスの夜に健吾くんと過ごすの??」


「え、あ、うん…。前にね、今月の月末に2人でお疲れ会っていう飲み会をやろうって決めたんだけど、ケンの都合がどうしても25日しか合わなくて。夜はどうせ二人で閉めるから、そのまま行こっかって…」


「ひょーーー」


「え、どうしたの?」


頬に手を当てて、キャーとかうひょーとか奇声を挙げるちはる。


翔くんとラブラブすぎておかしくなっちゃったのかな?


「え、何も感じない?」


「は?」


「私が言いたいこと、ていうか、ほらほら、あーじれったい!」


「…あ、ケンが未成年なのにお酒飲んじゃうこと?ごめんなさい、それは目をつぶってください。」


「ちがーう!クリスマスだよ?!クリスマス!!!」


「え、もしや…?また恋愛がらみ?」


私は眉をひそめながら、恐る恐るちはるに聞く。



「あったりまえじゃん!クリスマスに二人で過ごすなんて…!」


そう興奮して言うちはるに私は笑った。



「だから何度も言ってるじゃん。それは無いって。

まぁ恥ずかしながら、最初は私もケンってまさか…?ってさすがに思っちゃったけど、クリスマスだからね。でも全然ありえない。

同僚として、兄弟として、もうそれ以上の関係にはならないってば。」


私があまりにも冷静に言うからなのか、ちはるは「えー」と言ったきり静かになった。



全くもう…ちはるってば。


胸張って言えることじゃないけれど、私は店長一筋なんだから。