タカラモノ~小さな恋物語~





それからというもの、大学へ行ったりバイトへ行ったりと、いつもと変わらない毎日の繰り返しで時間は過ぎていった。



そんな平日のお昼。


講義が休講となり、時間の空いた私は、ちはるに連絡を取りランチをしていた。


大学が別々となり以前より会う回数は減った。


だから会える時間が本当に大切。




「本当にこの間はありがとうね!」


ちはるは、笑顔いっぱいでそう言った。


「ううん、それより授業サボっちゃって平気だった?」


「あ、もう全然大丈夫!」



あれからちはると翔くんは無事に仲直りが出来たみたい。





例の女の子に抱き付かれてしまったのは、本当にちょっとした事故だったんだって。



女の子は恋人が出来て、本当にその人のことを好きになって、その人を大切に思えた。


でもそれと同時に、大切な人がいる翔くんに、しつこく迫って、それがどんなに迷惑なことだったか…自分で分かって、本当に心から翔くんに謝りたかった。


で、その事件の起きた日、翔くんに謝って、少し喋るうちにお互いの恋人自慢話が始まって少し散歩しただけみたい。


その散歩中に、女の子がくじけてよろけたのを翔くんが軽く支えた…ということらしい。


その姿が……そういうふうに見えちゃったのかな。




「なんか、蓋を開けてみれば、笑っちゃう話だよね。」


ちはるはパスタをくるくるフォークに巻き付けながら言った。