タカラモノ~小さな恋物語~




時々考えることがある。


2人はいつか、結婚はするのだろうか…?と。


もう結婚適齢期といえば適齢期な気もする。


けれど多分そうなると、鈴音さんは辞めるのかな?


それともどちらかがどこか別の店舗へ移動になるのかな?



この会社の詳しい規則は知らないけれど、でも同じ職場にはいないよね、きっと。



でも…そうなると悲しい。


ワガママだけれど、私がアルバイトをしている間は、2人にここにいて欲しいと思う。



鈴音さんの背中を追いかけて仕事をしているから、鈴音さんがいないとなんていうか…誰を目標とすればいいか分からなくなるんだ。


私は、周りの大学生の子たちよりはかなり真剣にバイトに取り組んでいるつもり。


仕事がだるいとか、バイトに行きたくないなんて思ったことは無いし、いつも昨日の自分より仕事がよりよく出来るように、と向上心は持っている。


だからこそ、鈴音さんと存在は特別なんだ。



「百瀬さん?ぼーっとしちゃって…疲れちゃった?」


「へ?あ、す、すみません。大丈夫です!」




いけない、いけない、よりによって店長と鈴音さんの前で。


仕事中にあまり余計なことを考えるのは辞めよう。



ケンがいないと、それはそれで調子が出ないなぁ…と一人苦笑いをした。