タカラモノ~小さな恋物語~




その日の午後からは、私と鈴音さんの願いも虚しく、大忙しだった。



ひたすらレジ作業とプレゼント包装、おまけに接客やら電話対応やらで、店長含め3人でバタバタと仕事をこなした。





怒涛の忙しさから解放されたのは午後6時過ぎ。



「ふぅーっ、今日は忙しかったねぇ。気候なんて全く関係ないんだね。」


鈴音さんが、背伸びをしながらそう言った。



「さすがクリスマスシーズンですね。」


「俺もうダメ、肩こったわ。」


「ふふふ、店長もうオジサンだもんね。」


「あ、宮本さん、それ俺傷つくよ?」


「えーだって事実じゃんねぇ、飛鳥ちゃん?」


「え、あー…」


「こーら、心優しい百瀬さんに同意を求めないの。」


そう店長は言うものの、鈴音さんはクスクスと笑い続けている。


「まったく…」


店長はちょっと怒った素振りを見せながらも、穏やかな顔をしている。





「……。」



これがいつもの2人。


〝暗黙の了解〟の2人なんだ。




これを目の当たりにして、胸が苦しくないと言えば、それは違うんだけど…


でもそれ以上に、楽しい空間っていうか、穏やかな空間っていうか…。


この2人といると、とっても大きな安心感に包まれるんだよね。


こんな気持ちになれるから、私は2人を応援している、大好きなんだ。