タカラモノ~小さな恋物語~




「私も覚えていたら、ケンに伝えておきます。」


「うん、お願い。」


なんだか今日の店長は疲れているように見えた。



「今日はお疲れですか?」


「んー?そんな風に見えちゃう?」


「そうですねぇ、なんだかお疲れオーラが見えます。」


私はクスッと笑った。



「わ、それはいかんね。まぁクリスマスシーズンで勝負時だからピリピリしてるのかもなぁ。休みに日でも、どこか気が抜けなくてね。

プレッシャーをかけてるつもりはないけど、なんか感じたら言ってね。全くそういうつもりはないから。」


そう言って眼鏡をかけなおす店長。


その仕草、ひとつひとつに見とれてしまう。



「分かりました、無理はなさらないでくださいね。」


「うーん、ありがとう百瀬さん。あ、俺また裏入るから、応援 必要だったらチャイム鳴らして?」


「あ、はい。ありがとうございます。」


店長が行ったあと、こっそりと手を頬に当てる。


こんな何気ない会話でも、仕事頑張ろうって、パワーが充電されるんだ。



私は途中だった荷出しの仕事を、ちょっぴりルンルンな気分で進めた。