どうして、今になってこんな気持ちに気付いてしまったんだろう。
今さら、なんで…
―――残酷過ぎるよ。
「そっか。」と言うだけで私はもう精一杯だった。
ケンにとっての大切でかけがえのない人が、私だったら…どんなに幸せなことだろう。
恋は儚くて、こんなにも脆い。
簡単に砕けてしまう。
私の気持ちはどうすればいい…?
「ケン…そろそろ帰ろっか。」
「ん、だな。」
何一つ私とケンの関係は変わっていない。
ただ仲直りだけはして、それ以上は何もない。
いつも通りの私とケン。
ただ変わってしまったのは、私のケンへ対する気持ち。
涙で視界がぼやけた。
ここで泣いちゃいけないと、マフラーに顔を埋める。
「ももてぃ、寒い?」
「大丈夫。」
「はい、あげる。」
ケンは自分のポケットから何かを取り出して、私の頬に当てた。
「カイロ。」
「うん、ありがとう…」
こんな時にそんな優しさ、私には辛い。
ケンを独り占めしたい、ケンが私だけを見ていてくれたらいいのに。
そんな気持ちで押しつぶされそうだった。

