タカラモノ~小さな恋物語~




「せっかくだし、今日はどこか出かける?」


「そうだなぁ、珍しく飛鳥も土曜日休みだしなぁ。」



楽しそうに話す両親には申し訳ないが、私は静かに口を開いた。



「ごめん、今日は家でゆっくりしたいんだよね。お父さんとお母さんで出かけてきていいよ。」


「そうなのか?」


「そうね、飛鳥もずっとアルバイトしっぱなしだし、1日くらいは家でゆっくりしたいわよね。」


「うん、ごめんね。」



正直、どこにも出かける気分にはならなかった。


ただでさえ寝不足な上に、余計なことばかり考えてしまって、何も気力が起きなかった。




今日は綺麗な空、冬晴れだった。


寒いけれど、お出かけするには気持ちのいいくらいの青空。



今頃もう2人はどこかで落ち合っているのだろうか?




どうしてこんなにも悲しい気分なんだろう?



どうしてこんなにも寂しい気分なんだろう?



今、ものすごくケンに会いたいのはなぜだろう?




「飛鳥?」


しばらくの間ボーっとしていたらしく、お母さんが心配そうに声をかけた。



「大丈夫?」


「あ、うん、平気。私、部屋の掃除してくるね。」


「なんだ、全然食べてないじゃないか。」


「あー、これお父さん食べて。」



私はそう笑って言って、リビングを後にした。