次に目が覚めると、私は手足をベッドに縛られていた。
すぐこんなんにされちゃう。
まぁ私が暴れるから仕方ないんだけどね。
鬼佐藤の顔も、あんな必死な顔を見たことなかったな。
いつも怖い顔してるから。
患者に自ら死なれたら、立場がないもんね。
それより、痛い。
助けたりするから、こんなに中途半端に痛いんだよ。
なんて考えてると、扉が開き、近藤さんが入ってきた。
「かなちゃん、目が覚めた?
もう、突然いなくなってるんだもん。
私、どうしようかと思っちゃった。」
「ごめん、、、、なさい。」
近藤さんには本当にごめんなさい。
いつも私のお世話してくれてるのに。
「いろんなことがあって、辛かったよね。」
と近藤さんが椅子に越しかけて話す。
「何だか、突然施設の皆に逢いたくなって。
もしかしたら、まだ皆いるんじゃないかと思って。
そしたら、気づいたら外を走ってたの。」
近藤さんには、ちゃんと話さないと。
「そうだったんだね。
施設は、、、どうなってた?」
「売りに出されてました。
誰もいなかった、、、
飼ってた犬のポチも。
素敵な飼い主の元で育てられてるかな、、、」
思い出すだけでも、涙が出てくる。
「そうだったんだね。辛かったね。
今度、役所の人がきたら、皆がどこに行ったのか聞いてみない?何か分かるかも!」
えっ!
「そんなことできるの?」
私は驚いた。
だって、皆に会えるかも知れないんだもん。
「教えてもらえるかはわからないけどね。聞くだけ聞いてみてもいいかもね☆
役所の人が来るときは、必ずかなちゃんの担当の私が対応するから、今度来たら、聞いてみようよ!」
近藤さんが神に見える!
「ありがとう、神様」
「ん?神様?
(笑)たまにかなちゃんって面白いことをいうよね(笑)」
そうかなぁ。
「そうですか?」
「早川先生がチラッと言ってた、佐藤先生のこと、かなちゃんには鬼に見えてるんだよね?」
あ、漏洩してた、、、
本人には、知られないといいけど。
「だって、いつも怖いんだもん。
まぁ逃げる私がいけないんだけど、、、
だけどね、私が体調の回復しないうちから、矢継ぎ早に質問されて。とがめられて。」
ほんと、鬼だよ。
「それほどかなちゃんを心配してるんだよ。
かなちゃんのことを考えてるから、なんでかなちゃんが逃げるのか、気になるんだよ。
決してかなちゃんを嫌いでやってるんじゃないよ。
意地悪なんかじゃないんだよ。
佐藤先生ね、かなちゃんが入院するようになってから、かなちゃんの病室に一番顔を出してると思うの。
ここだけの話ね、、、
佐藤先生、幼いころに親御さんと別に暮らしてたみたい。
だから、かなちゃんの気持ちが分かるんだと思うよ。」
えっ?そうなの?
同じ境遇で育ったの?
施設なのかな。てっきり、裕福な家庭で何も不自由なく育ったのかと思ってた。
「あっ!こんなにしゃべっちゃった!もう行かなきゃ。
いろいろ話してくれてありがとうね。また話そうね。」
と言うと、近藤さんは部屋を後にした。
少し気持ちが軽くなった。
嫌なことを人に話すと楽になるって聞いたことが、あるけど、こういうことかな。
その日の回診には、早川先生がやってきたけど、バンドは付けられたまま。
2時間に一回、近藤さんが来て、すこしの間外してくれて、また再び付けられた。
一日動かずに寝ていたから、体のだるさは取れてきた。
けど、痛みは続く。



