「まだ手繋いでおいた方が良かったか?」
何で分かったの。
もうホント鋭い子は嫌いマジ勘弁。
「結構だし。早く帰って」
「お前、恩を仇で返すパターンの奴だろ」
「その言葉そっくり、返すよ」
「生意気」
「知らないし」
ぷいっと顔を背けると、また右手に温もりが戻る。
「…………………」
「…お礼はねぇのかよ」
「口調、直すんでしょ?お礼はないのかよ、でしょ?」
「……………」
無視かよ。注意してやったのに。ムカつく奴だよねホント。
「まぁ、ありがとね」
優季を見てお礼をすると、彼は満足げな表情を浮かべた。
これで女の子を落としてきたんだね。
なんとなく、優季に惚れる女の子の気持ちが分かった。
「…今日は泊まってく。朝早くに家に帰る」
「ありがとねー本当に」
「ん」
あ、少し照れた。やだ可愛いー。
「お風呂とか入る?」
「…服ないし、風呂は家で入る。朝飯だけ貰ってく」
「了解」
あぁ好きだなぁこの温かさ。
一人じゃないって言われてるような気がする。
瑠菜。お母さん。
二人はちゃんと暮らせてるかな。
本格的に会わなくなって3年くらい経ったね。
瑠菜は身長伸びたかな。
お母さん、シワ増えちゃって、化粧が濃くなっちゃってないかな。
会いたいよ。会いたいよ。
「…バカ。泣くな」
「あはは。…ごめんごめん」
泣いてたのか。気付かなかった。
恥ずかしいなぁホント。
泣き顔ほど人に見せなくないものはない。

