電車を降りて帰り道。
「お前、何企んでんだ?」
優季はあたしに疑問をぶつけてきた。
「…別に企んではないんだけど」
「レッツ上級生をナンパ、やら」
「その事で文句あるんだけど。何であんな人選んだの」
「簡単そうだから」
ぶっ殺す。
「それに理由も教えられてなかったから、やる気が出なかった」
なんつー理由だ。
人間として終わってるわ、この人。
そう言えば、彼に言わなくてはいけないことがあった。
「…優季。あたし決めたんだ」
足を止め、優季を真っ直ぐに見る。
少し茶色がかった彼の瞳はあたしを捕らえる。
「秋まで。志貴先輩に付きまとうのは秋までにする」
へぇ、とあたしの決意を聞いた彼は口角を上げる。
「冬までじゃないのか?」
「るさいなぁ。事情が事情なの。はい、とっとと歩く!今日のご飯はハヤシライスだ」
「材料あるのかよ」
「…マッシュルームがない」
「スーパー寄るか?」
「うん」
生温い風が吹いて。
ちりん、と鈴がなる。
梅雨のせいか湿気が高い空気は気持ち悪い。
ふ、と空を見ると、西の方は灰色の雲が広がっていた。
明日は雨だ。
「優季、今日デザート食べたい。マフィン作って」
「分かった分かった。マッシュルームと材料買ってさっさと帰るぞ」
「了解」
そう答えると、優季は目元を綻ばせた。

