思考に耽っていると、志貴先輩は機嫌が悪そうに舌打ちをした。
志貴先輩も、きっと最近の彼の行動の理由を知らないのだろうか。
まぁ、はるるんが何していようが、今あたしにとって、これは好機である。
「先輩、またデート出来ますね。はるるん、気を利かせてくれたのでしょうかね?」
美沙ちゃん全力スマイルビームを彼に送っても、うっとおしそうに目を細めて、
「…チッ」
また舌打ち。
「んー、じゃあ面白いことをしてみませんか?」
はるるんのせいで、志貴先輩の機嫌が悪いじゃないか。
とばっちりだよ。ほんと、迷惑。
志貴先輩。
気になるのなら、確かめればいいんだよ。
分からないのなら確かめればいい。
「あたし達は男と女」
“朝霧晴”とヤる時の約束、こんな便利なはるるん攻略本が噂になって転がっている。
その1、お互いの家ではやらず、ラブホで済ませる。
その2、お金は女の全額負担。
その3、彼氏がいてもいなくても大丈夫。
その4、予約は2週間前に行いましょう。
うん。とってもアブナイ噂だよねうん。
予約は2週間前にって、もうセールスの域達してるって話だよ。
あと、女の全額負担ってのも、やけに現実的。
確かに毎日利用してたらお金がいくらあっても足りないしね。
「先輩、どうです?ちょっと面白そうな遊びをしませんか?」
“朝霧晴”とヤる時の約束。その1、お互いの家ではやらず、ラブホで済ませる。
それをちょいと利用させてもらおうじゃん。
お互いの家だったら、不法侵入になっちゃうから御免だけど、ラブホならその心配はノープログレムだ。
「お前、…頭大丈夫か」
何故に頭の心配を。
結構、キマってたよねあたし。かっこよかったよねあたし。
台無しだよね、あたし。
「何がお気に召さなかったの」
「全てだ」
え。
何、はるるん探るなって言いたいの?
無理だよ。あたし決めちゃっもん。はるるんを助けるって。
「俺、お前とはヤれるわけねぇだろ」
「…………………」
と、とととにかく。
「近くの精神科に行こっか」
はるるん追跡より大切な事が起こりました。
志貴先輩が変態になった。
クールだろ先輩。先輩の売りはクールだろ?
何真っ昼間から卑猥用語言っちゃってんの。
はるるんの居なくなったから、穴を埋めようとしているの?
うん。クールと変態を組み合わせるのは、少しダメかなぁって思うんですよ。
「あ、確かに駅の近くに山中精神科がありま……いでっ」
痛い。
頭がじんじんする。
何故にあたしは叩かれたのだ。

