【優季×美沙】

幼馴染み/告白
 



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「あのねっ、……その、……あのねっ、」


言葉を濁らすあたし。


目の前の彼は、不思議そうにあたしを見ている。


どうしよう。 


これを言ってしまえば、彼はあたしを離れていってしまうかもしれない。


そう思えば、たった一言が言えなくて。


自分の不甲斐なさに自己嫌悪を抱く。


「………あのね、あの、ねっ、………」


喉がカラカラとする。


目に涙がにじんで、視界がぼやけ始めた。


どうして、あたしはこうもダメ人間なのだろうか。


目の前の彼は、同じことしか言っていないのに、嫌な顔1つしていなかった。


「美沙。俺、怒らないし、何もしないから、言ってみろ」


飴色の優しい言葉。


彼は眉を下げ、綺麗な飴色の瞳を揺らしていた。


それより、気になるのは彼の言葉で。


怒らない………?何もしない…?


自分の都合いい言葉だけが脳内で反復されていた。


「優季、それ、ほんと?」


「ほんとほんと」


なんで、こう彼は優しいのだろうか。


なら、あたしも言わなくちゃ。


大きく息を吸って、吐いた。





「ごめんね、優季。……優季の遠足のしおりにゴリラ書いたのあたしなの…っ!………って、痛い痛い痛いっ」







何もしないって言ったじゃん!


「優季の嘘つき!ちゃんと罪を擦り付けちゃった相川くんにも謝ってあるし、……って痛いって、ほんと!ギブギブッ」







倉條美沙。久しぶりのカミングアウトな告白は、あっさりあっさり倍返しされました。







──fin.








エアラブに投稿しよっかなと思って書いたくせに、ラブがない上、字数制限に引っ掛かる。
そして、一番は優季くんが可哀想だと思ってしまったのでボツになりました。