「晴のどこが邪魔なんだよ」
「全てです存在です」
「…………………晴、何かしたのか」
えぇ。むっちゃくちゃやらかしてくれましたけど?
志貴先輩がトランプショッピングしていたときに、むっちゃやらかしてくれましたよ。
けれど、そんなことは美沙ちゃんの心の引き出しの上から27段目に閉まっておいて。
女の子らしく、ふわり、笑ってみせた。
「………………」
顔をしかめる彼。
きっと、胡散臭さもあっただろうし、一番の理由はこの笑顔のやり方はさくらさんに似ているからだろう。
「あたし、カフェオレとー、パンケーキにしましょうかね」
「…………………」
ちぇっ、無視かよ。
つまらなくなって、窓の外を覗けば、ミルクティー頭が走って行くのが見えた。
はるるん、ナイスラン。
君は、美沙ちゃん杯マラソン大会でぶっちぎりの優勝だよ。
「志貴先輩。先輩は何にします?」
「……………………」
また無視かい。
「じゃあ、あたしは欲しいので注文させていただきますね」
ベルを押すと、さっきの店員さんが出てきて、にっこりスマイルをくれた。
「パンケーキと、アイスのカフェオレ。イチゴタルト。全て1つずつください」
そう頼むと、一番最初に出てきたのはカフェオレ。
からん、と氷のぶつかる音が鳴った。
「志貴先輩、ほんとに頼まないんですかー?」
「…………………」
またまた無視かーい。
まるで、最初の頃に戻ったような。懐かしい気持ちになった。
「志貴先輩、」
からん。また氷が鳴った。
「あたし、もう本当の事を話そうと思って、今日こんな形になることを取っちゃいました」
「………………」
「はるるんに、文化祭で気付かれちゃって、諦めようとしたんだけど、やっぱり諦めきれなくて、今に至っています」
きらり、彼の桜のピアスが照明に反射した。
「さくらさん絡みのお話。一緒にしましょうか」
目を見開く彼を見て、ただあたしは目尻を垂らした。

