シークレットガール!【完】




****


「おいッ、待てよお前。晴をどうするつもりだ」


なんだかんだで、あたしの走りについてきてくれる彼。


最初の頃なら無理矢理手を叩き落としているだろう。


なんどかんだで、彼も優季と同じ優しい人だ。


近くの店の扉を開けて、中に入る。


「志貴先輩、ナイスランですよ。きっと、はるるんも追い付けまい」


「追い付けないつーか、店に入ったから、晴が気付かないだけだろ」


「まぁまぁそんなこと、気にせず気にせず」


ぐいぐいと、入り口付近で立ち止まっている彼の背中を押す。



『何名様ですか?』


と店員さんがあたし達に聞く。


「2名です」


「かしこまりました。こちらへどうぞ」


にっこりと営業スマイルをするお姉さん。


お姉さんのあとについて行き、席に座る。


『ご注文が決まりましたら、ベルを押してください』



定型文を言った彼女は、小指でワンクッションをして、水が入ったコップを静かに置く。


一礼して、彼女を去っていったのを確信して、志貴先輩の方へと向き直した。


「何頼みますか?志貴先輩」


「……晴をどうする気だよ」


「ん?はるるんはこのまま放置。もう帰ってもらうの」


「お前、最低だろ」


「はるるんの鉄の心なら大丈夫だよ」


「そうじゃなくて、」


「人間的に最低ってことですか?」


シラリと言ったせいか、彼の表情が一層厳しくなった。


「そんなこと分かりきったことじゃないですか?それに、はるるんのためのラブホ襲撃の時にも言ったはずです」


「………………」


彼は、キッとあたしを睨む。




「あたしは、目的のためなら手段は選ばないタイプです」