「はるるん、」
「ねぇ、美沙ちゃん」
文句を言ってやろうと思って、彼に近づいたのに、グイッと彼によって引かれた腕。
予想外だった。
前のめりになる体は、彼によって支えられる。
あぁもう、何この人。
「二重人格、性格破綻者」
「あははー、ひっどー」
笑って言う彼。しかし、目が笑ってないのは一目瞭然。
「美ーー沙ちゃん」
「何」
「やだなぁ、美沙ちゃん。そんな怖い顔しないでよー。困っちゃうー」
その言葉、ソックリはるるんに返すよ。
「……んで、何」
「いやー?」
ニコニコ笑う彼の心はサッパリ分からない。
“要注意人物”。
春、彼と共にサボタージュした時の記憶と重なる。
「腹の探り合いする気なの?あたし、結構、はるるんに気に入られてると思ってたのに」
お別れしようとしたのに、それを引き留めたのははるるん。
抱きつきてきたのは、はるるん。
マイエンジェル双葉ちゃんと仲直りしたはるるん。
もしかしてのもしかしてだけれど。
あたしを調子に乗らして、上がったところを落とそうとか考えてた、とか?
……わ、むっちゃ性格悪いじゃねぇかよ。
「美沙ちゃん、今、はるるん性格悪ーいって思ってたでしょー」
「………………」
視線を、ちょろちょろ泳がせた。

