「てゆーか、美沙ちゃん達の下駄箱って逆じゃなかったっけー?こっちって、職員室と3年校舎だしー、…も、もしかして!お呼びだし‼?生徒指導室‼?」
「んなわけないでしょ」
いつの間にあたしは問題児になったんだよ。
あたしは優等生だし。
「あたし達、はるるんの苦手なマナミ先輩に会いに行くの。一緒に来る?」
挑発的に聞くと、彼はムッと眉間にシワを寄せた。
「ご遠慮ー」
彼は即答だった。よっぽどマナミ先輩が苦手らしい。
「てなわけで、ばいばーい」
優季の腕を掴んで、生徒玄関にやや駆け足。
これ以上絡まれるなんて、なやこった。逃げるが勝ち、だ。
「おい、美沙」
「そんなに思いっきりじゃないから、いいでしょ。それに、そんなのじゃ対して変わらないし」
「……………」
「心配性なの、優季は。下駄箱までの我慢。もう目の前なんだから」
「…………………」
どうやら、優季はあたしの考えには賛成できない様子で。
あたしはフッと自嘲的な自然に零れた。
視界の隅の優季の瞳は波のように揺れる。
もうあたしは、止まらない。
「優しさは毒だよ」
おのずから出たあたしの言葉の棘は、ゆっくりゆっくり彼に刺さっていくのだ。

