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「優季ー、帰ろー」
「おう。急ぐぞ」
優季は両手に紙袋。その中身にはチョコレートとTHEモテ男と言わんばかりだ。
「なんで、急ぐのー?」
ニヤニヤニヤしながら聞いてみるとデコピンを繰り出される。
「お前、余計に持ってきたから、あの先輩らに見つかると渡さなきゃうるさいだろ。さっさと帰るぞ」
ありゃ?あたしの為だったの?
「うへへ。ありがとー、優季大好きー」
「はいはい」
軽くラブコールをスルーされながら、教室を出た。
「そーいえば、あたし、チョコ20個くらい貰ったんだけど。てゆーか、男の子にも渡されたんだけど。そーいうの流行ってるの?」
果奈に聞けば、これは逆チョコと言うらしい。
初耳初見初体験である。
「は?んなもん、渡されたのか」
彼は、ぐっと眉を寄せた。
「うん。なんか、バレンタインデーって奥深いんだね」
「あのな、美沙。男からのチョコには、毒が入ってんだよ。食べたら死ぬぞ」
「マジでか!!あの告白チックのスキは、ニセモノだったのね!あぁっ恐ろしいっ」
美沙ちゃんメモリーに、
“逆チョコ提供者は暗殺者”
と記録する。
付箋をつけて、テストに出ますって書きたいくらいだ。
あの赤面ボーイ×5。あたしの事を殺そうとしていたのか…。
あぁ、この世は恐ろしい。

