「いたっ」
意外と痛かったのか、はるるんはすぐに腕に入れた力を緩めた。
「晴」
はるるんが邪魔で振り向けないが、この声の持ち主は誰が分かる。
「志貴先輩。おはようございます」
「…………はよ」
んんん‼?挨拶返してくれました‼?
いつも、”……ん”とか、相槌だけなのに。
「えへへへへ」
「何ー?美沙ちゃん、その不気味な笑みー。あ、俺とのラブメモリーを思い出して笑っちゃった感じー?」
美沙ちゃん、やーらーしーいーー、とか後ろでボサくはるるんに、
「うぼっ」
鳩尾に一本、肘で入れてやった。
日々増していく彼の残念イケメン度に、そろそろ対策を立てていかなければ、と決心する。
まぁそれは、いつかの授業中に考えるとして。
くるり、後ろを向く。
視界の下辺りで、鳩尾を押さえて、悶絶しているはるるんがチラチラ。
「志貴先輩、おはようございます!」
「…………それ、さっきも聞いた」
「カッ、カルチャーショック!!!!」
「はっ?」
あたしはっ!あたしはっ!
志貴先輩のおはようございますを聞きたくて、もう一度言ったのに…っ。
「志貴先輩は、焦らすのがホント好きですね」
「………………」
あ、無視された。地味にショックだね。いつものことだけどね。

