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「ただいま」
家に帰ると、優季がリビングでテレビを見ていた。
映る番組は再放送の『暴れん坊将軍』。
意外と渋い趣味をしていらっしゃる。
「優季、今から買い物行くけど。夜ご飯、何がいい?」
「あー、…なんでもいい」
なんでもいいんかい。
「ん。じゃあ、スーパーの特売品とお財布とあたしの気持ちと相談して、テキトーに作るね」
「おー」
なんて、適当な返事なのだろうか。
美沙ちゃん、おこだよ!無関心とか、マジでおこだよ!!
なんて、言うのも面倒だ。
「じゃー、行ってくるーねー」
また外の世界に引き返す。
やっぱ寒い。
やだなぁ寒いの。暑いのよりはマシだけど。
6時を越えた時間で、電灯がぽつりぽつり付いている。
「鍋しよっかな」
スーパーの特売品と財布と相談することなく、夜ご飯をチョイスしたあたし。
お財布さんが嘆いているような気がしたが、気にしない気にしない。
お財布さんは優しいからね。寛大だからね。
キラキラと星が光る夜空は、とても綺麗だ。
マイバックを片手にスーパーに向かうって、少しオバサンくさくはない?
しかも、頭の中は晩御飯のメニューと広告に書いてあったスーパーの特売品。
「はぁ……………」
白い息が、ゆらり宙に舞っては、広く浸透する。
「あと、少し」
さくらさんのお願いは、あたしが必ず叶えてみせるよ。
もうゴールは見えている。

