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時間が進むのは早い。


もう明日から冬休み。


けれど、午前中は授業はぎっしりだ。



砂時計の砂は落ち続ける。


ゆっくりゆっくり、じわりじわり。


その様子は、あたし達を急かすのだ。



「はい、止め。シャーペンを手から離せ」



先生。鉛筆なら離さなくてもいいですか。


そんなことを心中で思いながらも、シャーペンを置いた。

教卓の目の前に置かれている5分を刻む砂時計。


生物の小テストの時間を計っていたのだ。


満点だねこりゃ。


うん。昨日、真面目に勉強したし。パーフェクト。


インスリン、パソプレシン、アドレナリン、ランゲルハンス島。


冬の入りめに勉強した復習テストである。


「隣の人と交換しなさい」


隣の鍵谷さんと答案用紙を交換。


ちなみに鍵谷さんとは、春の最初の頃、前の席だった人である。


最近は暖房が入っていて、授業中の教室は暖かい。


眠気を誘うような、そんな暖かさである。


美沙ちゃんは、真面目だから寝ないけどね!


珍しい1限65分授業のここ北府高校は、ただ今4限目。


今年最後の授業とやらを受けている。


最後の授業が、生物て。締まりのないようなあるような。


先生が黒板に小テストの答えを書いていく。


鍵谷さんは1問、間違えで合格だった。


明日から冬休み。といえば、初詣。


うん。はるるんたちがしつこかった。


初詣一緒に行こーやら、なんやら。


双葉も来るよ、というはるるんの言葉にぐらついたのは言うまでもないだろう。


だって、あの天使だよ!?あのスイートキューピットだよ!?


うん。箱ティッシュ何個あっても足りませんよ奥さん。


あらやだ、奥さん。


あたし、生物の小テスト満点だったわ。


おほほほほ。


とまぁ、返ってきたテストで調子に乗っていると、いつのまにか授業開始。


慌てて、教科書やらプリンとやらを机の上に出した。