「痛い」
「悪かったって」
「赤くなった」
「悪かったって」
「青あざになった」
「嘘つくな」
ペチン、と手を叩かれた彼女。
「美沙、帰んぞ」
「へーい」
何という変わり身の早さ。
さすがというか、なんというか。
幼なじみなんだな、って分かった。
彼女は、筆箱にペンをしまい、テキストと一緒にカバンに入れた。
「バイバイ、ストーカーさん達」
彼女はマフラー片手に、手を降った。
離れて欲しいのなら、こんなことしなければいいのに。
優しいのか、残酷なのか。
さて、彼女はどっちだろうか。
彼女は、子供のように走って、教室を出てって、残った男三人。
「美沙に近づかないでくださいね」
にっこり、口角を上げていう橋本優季。
否、目は笑っていない。むしろ、睨んでいる。
「うん、極力頑張るよーん」
晴は適当に返事をして、橋本優季は舌打ちをした。
「…………ま、精々頑張れば?では、先輩方」
敬意を払っているのか、怪しくなってきた彼の言葉。
アイツのいう王子様の仮面とやらが外れかかっている。
橋本優季は、何も言うことなく踵を返して、アイツの行っていった方向へ歩いていった。

