「それに、あたしっ!」
はるるんも知ってるじゃん。
あたしがどんな動機で近づいたのか。
すべて、知ってるじゃん。
「藤崎ちゃんが何とか何とかだって、言いたいの?」
「…っ」
さくらさんだよ、さくらさんなんだよ?
「あたし、さくらさんのお願いを果たしたくて、はるるん達に近づいたんだよ!?」
『志貴くんから、私への想いを取り除いて』
つまり、志貴先輩に恋をさせろ。
さくらさんは、あたしに頼んだのだ。
だから、あたしは考えた。
さくらさんがいなくなって、自分から違う恋にガッツくなんて志貴先輩がするはずがない。
きっと、普通の人は彼の事情を知ってしまうと、志貴先輩に好きだなんて軽々しく言えるわけがない。
志貴先輩と誰かの恋を成功させて、次の恋に歩ませることは不可能に近い。
なら、ば。
自分がその相手になればいい。というより、なるしかなかった。
あたしはさくらさんみたいに綺麗でもないし、可愛くもない。
さくらさんみたいに優しくもないし、いい子じゃない。
けど、さくらさんのあんな顔を見たら。あんな思いを聞いたら。
やるしかなかった。
「美沙ちゃん、まだ気にしてるのー?
俺が、美沙ちゃん、実は“頼まれた”んじゃないの?
って言ったの気にしてんのー?」
「……………っ」
気にするでしょ普通。
はるるんに文化祭で言われた核心つく言葉。
あの時は、バレたという動揺で頭の中がぐっちゃぐちゃだった。

