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「ちょっ、急いでください!」
慣れてきたメイド服を膨らませ、ドラキュラと廊下を走る。
「あと、10分しかないんです!もぐらたたき、まだなのにっ!」
文化祭残り10分。
ちなみに北府高校の一般公開文化祭の終了時間は、4時。
そして、まさかの4時から後夜祭開始。
実質、一般客がここにいれるのは精々3時40分頃まで。
したがって、今は人ももう少なくなっていて、高校生ばかりだ。
後夜祭が終わり次第、片付け。
あろうことか明日から平常通りの授業を始めようとしている。
あぁおそろし。もうちょっと、文化祭の余韻に浸らさせてください。
「志貴先輩っ、三階に上がりますよっ」
一時間あった時間が何故、こんなに無くなったかというと、かくかくしかじか。
少し、理由が恥ずかしいので黙秘権を行使させていただこう。
階段を上がると、見えてきたのは『もぐらたたき』とでっかくかかれた看板。
「やっとついた。お前が、射的なんかに熱中してるから、こうなったんだからな」
「う゛………。黙ってください。だって、あのバーコードおやじのキーホルダーが欲しかったんですもん!!そこは、なかったことにしてくださいよ!!」
「出来るわけないだろ。おい、さっさと入るぞ」
「はい」
入って広がるもぐらたたきワールド。
「志貴先輩、いざ尋常に」
「…………ん」
もぐらたたきは、ゲームセンターより一回りも二回りも大きい。
でてくるもぐらは、すべてヘルメットを被った北府生。
それを叩いていく、というゲームである。
すばり、人間もぐらたたき。
「では、対戦形式。制限時間は1分です。始めてください」
ピコピコピコ、ピコピコハンマーが人を叩く音が尋常じゃないスピードで鳴り響く。

