「走るなって行っただろ」
走りだして数秒後、繋ぐ手を志貴先輩に引かれ、体がよろめく。
「おい、晴と何があった?」
繋いだ手を彼の方に引かれて、あたしの顔と彼の顔が急接近。
「なにも、ないですよ?」
「…………………」
可笑しいなぁほんと。
いつもなら、勝手に手を繋いだら、マッハで振りほどいてくるのに。
「志貴先輩!はるるんにあたしはウィンしました!志貴先輩、ナイスラン!てゆーか、志貴先輩、今日は手振りほどきませんね!あたしの色気にノックアウトしちゃいましたか‼?いやぁ、照れますねぇ」
「………心配した俺がバカだった」
その言葉と手は野球の投球のような猛スピードで放された。
傷つくなぁほんと。
はるるんは、仕事をサボちゃうような奴じゃないし、今は追いかけてこない。
だから。
「志貴先輩、いっぱい楽しんじゃいましょっか!まず何しに行きますか?」
最後の時間を楽しく悔いの残らないように過ごそう。
「…………あ!そういえば!理科棟の1回に占いの館っていう3年生の出し物がありましたよ!あたしと先輩の相愛度チェックをしましょう!」
「0%に決まってんだろ」
「浮気宣言‼?」
「…俺とお前の相性の悪さを調べに占いの館行くぞ」
「え‼?なんで、そんなにマイナス思考‼?せめて、どんだけ相性がいいかを調べましょうよ!」
「……うるさい。行くぞ」
「志貴先輩、ご立腹ー。そういたしましょう、志貴殿下様ー」
「………………」
ありゃりゃ。ついには無視かい。
まぁ、それがいつもの志貴先輩だけど。
「では、占いの館に、レッツゴー!!」
腕を高く突き上げて。
理科棟を目指すことに、なりました。

