アリスの巨大迷路の出口の目の前にある芸術棟。
写真部の写真の展示はそこの2階にあるフリースペースで行われている。
「写真だらけだね」
「そりゃあ、そーでしょうに写真部なんだから」
彼は興味ないのかして、すぐに近くにある椅子に腰を下ろした。
写真部には受け付けもないようで。
いるのは、あたしとはるるんのみ。
「二人だけっていうシチュエーションて、なんか熱いものを感じるよねー」
「エッ。あたしになんかしないでよ!」
倉條美沙。まさかの文化祭の写真部展示コーナーで童操の危機が訪れた。
思わず五メートル距離を取る。
「大丈ー夫。俺、胸ある子が好みだからー美沙ちゃんには興味なしー」
「ぶっ殺すぞ変態星人!」
遠回しで、胸がないって言ったでしょ!
「ん?美沙ちゃん、俺に抱かれたかったわけー?」
流し目のフェロモン駄々漏れはるるん。
どう彼が捉えたのかが分かったあたしは、トマトカラー。
「…………っ、」
そんな様子を見たはるるんは、ご満足のご様子で。
「俺、今、人肌恋しくなっちゃった」
と爆弾発言。
「……………」
「美沙ちゃん、抱きしめて……?」
「……っ、」
ダメ?、と甘い言葉で首を傾げる彼は確信犯。
「………だ、めじゃないけど、……恥ずかしい」
彼の甘い甘い空気に毒されたあたし。
彼の甘い雰囲気から逃れることなんて不可能。
「誰も見てないから」
「けど、恥ずかしいものは恥ずかしいの」
しょーがないなぁ、と徐(おもむろ)に立ち上がる彼の姿は何故か官能的。
変態星人は、何をしても変態。
頭の片隅でしょうもないことを考えた。
ぎゅ、と。
温かいものに包まれて。
ミルクティー色の髪が頬に触れて、くすぐったい。

