シークレットガール!【完】




side.R


シンデレラの動画が終わると、エンディング。


クラシックの綺麗な音楽とともに、人物名が流れる。



シンデレラ役 倉條美沙

王子役    朝霧晴

魔法使い役  槻倉志貴


私はこの文字を脳に刻み込んだ。


「ご清聴ありがとうございます。次のお客様もおりますので、お早めに退席を願います」


人が流れに流れ、私はそれに呑まれ、教室を出た。


「………朝霧晴さんと、槻倉志貴さん」


ぽつり、なんとなくその名を呼んでみた。




「はるるん!志貴先輩はあと何分でくるの?」


「あと一時間で俺と交替ー」





「……………っ」


目の前の階段の下から聞こえるお姉ちゃんの声と、さっき聞いた王子役の人の声が耳に入った。


上に上がってくる‼?


私はとっさにトイレに駆け込んで、彼女らが通りすぎるのを待つ。




「はるるーん、志貴先輩は今何着てるの?」


「吸血鬼だったと思うけどー」


「マジで‼?よしっ、おばけ屋敷に行こーじゃないか!そして、どさくさ紛れて、ハグだハグ!」


「美沙ちゃん、だいたーん」




どくん、どくん。心臓がなる。


彼女らが過ぎ去った足音がして、少ししてから私はトイレから出た。


「………………」


私がここに来た目的は、お姉ちゃんが幸せかどうかを知るため。


動画を見たとき、はっきりその答えが分かった。


お姉ちゃんは、幸せだ。


幸せなら、よかった。


たった一人のお姉ちゃんが幸せで、よかった。


だから、もう一度。


もう一度だけ。






私は、彼女らが進んでいったであろう道を走る。


すれ違いざまに、たくさんの人と肩がぶつかって。


よろけたり、こけそうになったり。


他人様に迷惑をかけてしまった。


けれど、そんなことはもうしないから。


今日だけだから。





「………………………っ」




もう一度。


もう一度だけ。


こんな最低な妹だけど、1つだけ願いを敵えさせて。



「はるるん、アリスの巨大迷路行きたい!」


「はーいはーい」