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「ねぇ、シンデレラ。今日、私の部屋にヤモリが大量に発生したの。殺虫剤、撒いて処分して」
「分かりました、お姉様」
今日もまたシンデレラは、自分でやった仕返しを自分で掃除をし始める。
王子と会ったのが遠い昔のように思えてくるシンデレラ。
しかし、残念ながら王子と会ったのは昨晩のことである。
シンデレラの姉の部屋に入ると、視界にヤモリが数10匹。
「魔法使い、今日も来ないかしら」
(アホロモーラでも何でもいいから、唱えればいいかな)
そんなことを考えていると、下でお姉様やお母様がきゃーきゃーと叫ぶ声が屋敷に響く。
(あたし、今日1階に仕掛けてないんだけど!)
シンデレラは、急いで声のする音源へと向かった。
そこにいたのは、
「やあ、こんにちは。この国の次期王子です」
キラキラスマイルを浮かべる昨日の王子だった。
「あの、王子様?こんな家にどんなご用件で?」
シンデレラの母は、顔を赤めらせながら、彼に問う。
「オニセ、よろしく」
王子は、パチンと指をならして、後ろの側近だと思われる男に合図を送った。
オニセは、この世の番人かと思えるほどの悪人面であった。
誰もが怖じづいたことは、言うまでもない。
「昨日、我が王子主催の舞踏会で、王子のお気に召す女性が出来た。が、彼女は12時に急いで帰ってしまった。我らはその彼女を探しているのです」
鬼から敬語。
これほど、不自然な外見と口調は見たことはない。
「それ、私ですわ」
姉は手を挙げた。
(それ、あたしですよお姉様)
シンデレラは、嘘をつく姉に嫌気がさした。

