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風呂から出て、リビングに向かった。
リビングの扉のドアノブに手をかけようとした。
それはかけようとしただけで、出来なかった。
何故なら、扉が勝手に開いたから。
「えっ、…っと。おはようございます」
「あ、…あぁ」
何それ。
彼はまだ目が完全に冴えてないようで、半分目が開いてない。
もし冴えていたら、なぜ美沙の家に俺がいるのか不思議に思うはずだ。
「…槻倉先輩」
「……………」
無視。てゆうか、寝てる。
立ちながら寝てる。
若干美沙に似ている、そう思うと、胸がキュッと音を鳴らした。
この人ら、どうしようか。
ご飯、食べてってもらうか?
シュールすぎ……。
けれど、美沙は喜ぶだろうな。
「……槻倉先輩」
「…………………」
立ちながら寝るなんて、ほんと器用な人だ。
少し悪いと思いつつも、少しネクタイを引っ張らしてもらった。
「……………ん」
重い重い瞼がゆっくりと開く。
と思いきや、また閉じていく。
なんつー奴だ。マジで美沙にソックリ。
パンッと目の前で手を合わせ、それを阻止。
ぱちくり、開ける彼は、少し状況が飲み込めていない様子。

