「センセ?こんなとこ、生徒に見られたら大変ですよ?」
「お。ここで敬語でくるか。なんかイイな」
にやり、と笑う彼。
あたしはピクリ、と笑顔を固まらす。
「………………」
ギシリ。
またスプリング音が保健室に響く。
その音が警告音のように聞こえるのは、強(あなが)ち間違ってはいない気がする。
ほんとなんなの。
近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い。
なんで、隅なんかに寄ったんだろうか。
いつの間にか、体育館座りまたの名をお山座りを解いてて、足は伸ばされ、その上に軽く乗る不良教師。
彼の手は、あたしのついている手の隣。
顔と顔の距離は、あと五センチ。
彼の吐息があたしの顔を火照らす。
「顔真っ赤だな。ジュンジョーだな」
くくく、と笑みを溢す彼。
大人の余裕ってヤツか。
つくづくムカつくヤローだ。
イラッとして、睨むがそれは逆効果。
「赤面した上に、涙目で睨まれるとか、サービス満点だな」
「………………~っ!」
一発、コイツの腹に入れたい。
けれど、少しでも動いたら、唇が重なってしまうような気がして、動けない。
「ね、ちょ、…離れてよ…」
どんどん小さくなっていく言葉の語尾。
あぁほんとやだ。この男の思惑通りじゃないか。

