「この空気にして帰えんだねー」


もうさすがさすがー、とはるるんは笑いながら言う。


いやー、この空気にする気はなかったし。


それにマイホームには優季クンが掃除をして待っててくれているだろうよ。


あの綺麗好きは空き時間にあたしの部屋よく綺麗に勝手にしてるし。


だから、今日は片付けせずに家を出てやったぜ。


「志貴先輩は帰りますか?」


「…………ご飯もらってく」


あ、そっか。結構仲良しさんだもんね槻倉家と朝霧家。


ケッ。羨ましいこってぃ。


「では、帰ります。あ、はるるん。双葉ちゃんに友達になろうって言っといて」


「諦めてなかったのー?絶対、嫌がるからやめてちょー」


「諦めないしー。友達になるまで諦めないしー」


「ストーカー化しないでねー」


「ストーカーなんてしないわ」


「志貴にストーカーしてた」


「………………」


それを言われると反論出来ん。


「じゃあ、俺、美沙ちゃん送ってくー」


「え」


むっちゃ要らない要らない。


「え、その表情はご不満で?」


「むっちゃご不満ですけど」


志貴先輩なら百歩譲ってオーケーだよ。


「はるるんなら要らない」


うん。要らない要らない。


「わー傷つくー」


知るかよそんなの。


まぁ早歩きで帰ればいいし。


「…勝手にしたら?」


「そーさせていただきます」


はーとが語尾につく勢いで、言ったはるるんに少しドン引きした。


机に出されたぬるなったお茶を一気に飲み干して、席を立つ。


「志貴先輩、また明日」


「テレビとか見て、適当にくつろいでいてー」


コイツ、マジで来るのかよ。


チッ。しょうがない。


黒いもくもくとしたモノを胸残したまま、あたしは朝霧家を出たのであった。