「美沙…………?」
お母さんの弱々しい声が耳にへばりつく。
ウサギ。ウサギ。真っ赤な真っ赤なウサギ。
血にまみれた真っ赤な真っ赤なウサギ。
──『約束。ちゃんと、ウサギのぬいぐるみ買ってきてね』
──『あぁ。もちろん。その変わり頑張るんだよ?』
──『うんっ』
「、あ……ぅ…」
ウサギ。ウサギ。真っ赤な真っ赤なウサギ。
あたしの、貰えるはずだったウサギのぬいぐるみ。
「あ、たしのせいだ…………」
あたしがあのとき、約束したから。
お母さんは、もっと実用的な物にすれば、と言ってくれたのに、あたしはそれを無視したから。
「美沙…のせいなの?」
お父さんの亡骸のとなりで泣き崩れていたお母さんが顔をあげた。
化粧がぐちゃぐちゃだ。
それより感じたのは、
その顔は怒りに染められていることだ。
「お、母さん……」
コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ。
何で睨むの。やめてよ。
あまりに視線が怖かったから、視線を泳がせた。
───パシンッ
大きな乾いた音が病室に響く。

