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窓を見ると、白くなっていたので、きゅっきゅっきゅっと裾で窓を拭く。
見えたのは一面の銀世界。
降り積もっていく真っ白な雪。
「美沙。こっちだ」
優季が“204”とかかれたプレートの前で足を止めた。
数字の下には丁寧に“倉條真人”とかかれていた。
間違えなく、その名前は父のものだ。
父は車でスリップをしてしまい、そのまま反対車線を走っていたトラックに激突をし、即死だったらしい。
なんか、他人事みたいな言い回し。
意外とあたしは冷静だった。
今思うと、急な出来事だったから頭が着いていかなかったのだろう。
がらり、と病室の扉を開けると、すぐに見えたのは妹の瑠菜の姿。
彼女は目を伏せていて、表情は分からない。
けど、まつげは濡れていて。
ヒックヒックと嗚咽も聞こえてる。
……ほんとにお父さんは死んじゃったの?
いやだ。まだ、あたしは信じたくない。
一歩一歩、病室を歩み進む。
一歩が鉛のように重くて、自分の足じゃないみたいだ。
進んだ先にあった病室に1つのベット。
横になっている人の顔には白い布がかけられていて、その隣でお母さんが声を殺しながら泣いていた。
ベットの回りには椅子が三つ。
のち、1つは瑠菜が座っていたであろう、空席の椅子。
残り2つは空席でなかった。
1つはお母さんが座っている。
もう1つは、真っ赤に染まったウサギのぬいぐるみが置いてあった。
頭と胴体の付け根部分から、耳の部分から、ところどころから中の綿が出てきている。
「…な、にこれ………」

