シークレットガール!【完】




****


窓を見ると、白くなっていたので、きゅっきゅっきゅっと裾で窓を拭く。


見えたのは一面の銀世界。


降り積もっていく真っ白な雪。


「美沙。こっちだ」


優季が“204”とかかれたプレートの前で足を止めた。


数字の下には丁寧に“倉條真人”とかかれていた。


間違えなく、その名前は父のものだ。


父は車でスリップをしてしまい、そのまま反対車線を走っていたトラックに激突をし、即死だったらしい。


なんか、他人事みたいな言い回し。


意外とあたしは冷静だった。


今思うと、急な出来事だったから頭が着いていかなかったのだろう。


がらり、と病室の扉を開けると、すぐに見えたのは妹の瑠菜の姿。


彼女は目を伏せていて、表情は分からない。


けど、まつげは濡れていて。


ヒックヒックと嗚咽も聞こえてる。


……ほんとにお父さんは死んじゃったの?


いやだ。まだ、あたしは信じたくない。


一歩一歩、病室を歩み進む。


一歩が鉛のように重くて、自分の足じゃないみたいだ。


進んだ先にあった病室に1つのベット。


横になっている人の顔には白い布がかけられていて、その隣でお母さんが声を殺しながら泣いていた。


ベットの回りには椅子が三つ。


のち、1つは瑠菜が座っていたであろう、空席の椅子。


残り2つは空席でなかった。


1つはお母さんが座っている。


もう1つは、真っ赤に染まったウサギのぬいぐるみが置いてあった。


頭と胴体の付け根部分から、耳の部分から、ところどころから中の綿が出てきている。


「…な、にこれ………」