シークレットガール!【完】




問題ははるるんなんだよ。


君はなんでそんなにすれ違いをするのかな。


すれ違い選手権があるのなら、君はぶっちぎりで優勝しちゃってんよ。


「美沙ちゃんの“はるるん救出作戦”その2。被害妄想は程々にしなさい」


はるるんを睨み付けるように見ると、ぷいっと目をそらされた。


ありゃま。


怒らしちゃったのかな?


けど、しょうがないじゃん。事実なんだから。


「双葉ちゃんの言葉には嘘はないよ。双葉ちゃんはさ、優しいんだよ。あたしと違って、相手の気持ちを尊重するタイプだよ」


ほんと大違い。


あたし、結構、自分至上主義なの。利己的っていうの。


自分の欲は、絶対満たさなきゃ気がすまないタイプだもん。


「……………」


「はるるんがふらふらどっか行くのなら、それがはるるんの選ぶ道なのなら。双葉ちゃんははるるんの幸せを何より願ってるんだから、無理に追いかけない」


双葉ちゃんは優しすぎだ。


だから、お兄ちゃんは困っている。


ねぇはるるん。誰もがさ、“追いかけてくれる”んじゃないんだよ。


人それぞれなんだよねヤサシサって。


あたしは思いっきり行動に写して、自分の感情を押し付けるようなヤサシサだけど。


双葉ちゃんは相手を思うヤサシサなんだよ。


だから、家を飛び出していくはるるんを追いかけなかった。


追いかけられたかったんでしょ?


もうやだねぇ。ほんと、ツンデレ。


ツンデレキャラは志貴先輩で埋まってるっての。


「双葉ちゃんはきっと、はるるんが要らないなんて思ってないよ」


はるるんの綺麗な瞳が今日一番に見開く。



「大キライ。そりゃはるるんの勘違い。ってか、はるるんが大キライなのは自分でしょ」



「……………」


「はるるんはさ、ひねくれすぎなの」


追いかけてくれない。なら、自分が邪魔だと思っている。


なんで、そんな変な考えしか出来ないの。


「どっから、そんな子になっちゃったの。あたし、そんな子に育てた覚えはないんだけど」


「育てられた覚えはないってのー。てか、まさか、このタイミングでボケ入れんのねー。俺、こんな母親じゃなかった気がするけどー」


「あらやだ。母親の顔も忘れちゃったのね。この薄情モン。……あ」


視線に入った時計を見て絶句。


短針は7手前を指していた。


「ごめん、はるるんと双葉ちゃん。もう、ご飯の時間なのにお邪魔してて」


「大丈夫です美沙さん。私たちの家は父が9時くらいに帰ってくるので、皆それに合わしてるので。ご飯の準備は8時からですから」


「そっか。ありがと。そして、美沙ちゃんじゃなくて美沙さんなのね」


「………………」


どんだけ、あたしと距離取りたいの。


もうマジで泣けてくるわ。